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言葉でデザインの良さを表現する
文学部日本文学科卒業石川リエさん
学園ニュース VOL.246

中国の旧正月である2月、上海から一時帰国した本学卒業生石川リエさんを訪ねました。女性の憧れのファッションライター、そしてテーラーメードの本場上海でデザイナーとしても活躍する石川さん。どちらの仕事も、よいデザインをどう言葉を介して相手に伝えるのかという言葉の力が重要であることを教えてくださいました。職業柄、的確な言葉をひとつひとつ丁寧に選ばれてお話しされている様子が非常に印象的でした。
知人の紹介でファッションライターに
ファッションライターのお仕事をいただくようになったのは大学院在学中のことです。企画を出し、それが通ったら編集者と一緒にページの構成を考え、文章も作成する。そうした一連の仕事の流れを経験し、発想力や「かわいい」など定型の言葉を使わずに表現する力を身につけました。
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懐かしさと新しさが交錯する美しい著書「上海 奏」 -
説得力のある良いデザインを目指すために
現在は夫の赴任先である上海で、デザイナーの仕事もしています。きっかけは生地市場で洋服を注文するようになり、友人の分も頼んでいたら「いっそのこと仕事にすれば?」と勧められたからです。ファッションデザインの世界も言葉の説得力は重要で、人も魅了する良い言葉とデザインが融合した商品はお客さまにも受け入れられます。
商品の縫製は現地の職人さんにお願いしていますが、思い通りに作ってくださる方に出会うまで大変苦労しました。中国の人口は日本の10倍なのだから、自分も10倍頑張って私自身が彼らの流儀、やり方をまず理解し、そこに自分の価値観を照らし合わせ、理解し合える相性のよい人を探しました。そうやって出会った方とはよい信頼関係を築けています。
何事にも全力で取り組む姿勢で
学生の皆さんには興味、関心のあることに全力で取り組んでほしいと思います。そのことが結果として表れなくても、全力でやり遂げた力は生涯さまざまな場面で自信となって、挑戦する自分をきっと支えてくれます。また、そうした経験のひとつひとつが後になってつながり、大きな成果をもたらすかもしれません。
プロフィール
石川 リエ(いしかわ りえ)さん
1996(平成8)年3月、文学部日本文学科卒業。1999(平成11)年3月、文学研究科日本文学専攻博士課程前期修了。大学院在学中からファッション誌のライターの仕事を始める。文学研究の中から培った言葉の感性を生かし、独自の世界観を持った企画を読者に提供。結婚後2005(平成17)年に夫の赴任先である上海に移住。ファッションライターを続けながら2007(平成19)年プリントシルクを使ったセミオーダーの店COUTURIERShanghai(クチュリエ・シャンハイ)をオープン。2014(平成26)年、フォトグラファー安井真喜子氏と共著「上海奏」(シャンハイジエゾウ/シャンハイリズム)を出版。読売新聞社夕刊「海外ファッション」(毎週水曜日・リレー連載中)にて、上海の「今」を発信中。
ホームページ:http://www.couturiershanghai.com/http://mrsshanghai.sblo.jp/
インタビューを終えて

●取材・文・学生記者
人間社会学部文化学科3年 福田 栞