学長メッセージ

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学長 就任挨拶

新たな価値観を創造するときを迎えて

日本女子大学学長    篠原 聡子
日本女子大学学長 篠原 聡子
 私たちは今、新型コロナウイルスの感染拡大の中で、これまでとは全く異なった日常を生きていくことが求められています。集まって語り合うこと、ともに食事をすること、大学においても、対面で授業を行うこと、ゼミで議論を交わすこと、海外へフィールドワークに出かけることなど、今まで普通にできていたことがことごとく否定されています。その結果、人間という社会的な生き物にとっては、致命的とも思える制約の中に置かれています。日本でも様々な犠牲を払うことになりましたが、オーバーシュートのような大惨事は避けられそうで、規制も緩やかに解かれつつあるものの、すぐに元に戻るわけではありません。しかし、この状況は日常を丁寧に、繊細に見つめなおす機会にもなりました。すると、そこからは拘束される不自由だけがあるのではないこともわかってきます。現に、人間社会は、危機的な状況にあるときにこそ、新しい文化を開いてきました。ヨーロッパでは、14世紀のペストの流行のあと、イタリアのルネサンスなど近代へとつながる文化が花開きました。私たちは、さらに近代のもたらした効率主義や機能主義を超えて、新たな価値観を創造するときを迎えているのです。既成概念にとらわれない新しい変革の好機として、このタイミングをとらえなくてはなりません。
 1901年、成瀬仁蔵によって日本で初めての女子大学校として本学が創立されてから、来年2021年には120周年を迎えます。開学以来、日本女子大学は研究職や教職はもちろん、実社会で活躍する多くの卒業生を輩出してきました。しかし、創立当時の社会では、「女子大学」という発想そのものが、既成概念を打破する大変革であったわけです。2019年度に完成した新図書館に加えて、来年には、教室研究室棟、学生棟などもすべて竣工します。家政学部・文学部・理学部に加えて、人間社会学部が西生田キャンパスから目白に移転し、女子の総合大学として、多様な連携が可能となり、その真価を発揮できる体制が整います。現在の危機的状況を転機として、建築のみならず、学部・学科再編や生涯教育の一層の充実など、大胆な変革によって、女性ならではの感性を生かした創造性を伸ばし、100年の人生を豊かに生き抜く力をつけるために、またそうした社会を支えるリーダーの育成のために、日本女子大学の学長として、力を尽くしてまいります。