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卒業生

ひとがつながる、空間がつながる、過去と未来がつながる図書館を目指して

妹島和世設計事務所妹島和世さん

明治34(1901)年4月20日に創立された日本女子大学は、2021年に120周年を迎えます。
創立120周年を機に、西生田キャンパスにある人間社会学部が創立の地目白に移転し、4学部15学科と大学院が目白キャンパスにそろいます。
新しい目白キャンパスのグランドデザインを手がけるのは、本学卒業生の世界的建築家妹島和世さん。まず2019年4月に新しい図書館と学生滞在スペースがオープンしました。総ガラス張りの美しい外観は、国内のみならず海外からも注目を集めています。
今回は妹島和世さんに、図書館について語っていただきました。

「ここならでは」を生かして今までにない図書館を

どのような図書館をつくったらよいかは、とても難しかったです。
まず全体がひとつながりに感じられるような図書館にしたいと思いました。自分がどこにいるか分からずにただ本棚の間を歩くことにならないように、どこにいても建物全体を感じられる建物にしようと考えました。
また、求められた蔵書数が相当多かったこともあり、司書の方々との話し合いを経て、建物全体がたくさんの書物で満たされその中に閲覧席・検索コーナー・読書スペース・学習スペースを配する計画としました。
もともと敷地の前の目白通り側と後ろでは約2メートルの高低差がありますから、建物は半層ずれる構成となります。その高低差をつなぐように設けられたスロープは、エントランスから半階上がって2階へと繋がり、その後も上の階まで緩やかにつながっています。このスロープによって各階から必ずその上下階が一度に見えます。吹き抜けなどを組み合わせれば、さらにその上下階まで見えたりします。

  • 図書館外観
  • エントランススロープから館内を見る。右下に地下1階、目の前には1階、目を上げると2階、さらに左の階段の上から3階がうかがえるユニークな構造

居心地よい、「わたしの場所」を見つける楽しさ

そして、ごく小さかったり広々としていたり、明るかったり暗かったりと、それぞれの人がその時の気分で自分の好きところを選べる、多様な場所を持つ図書館をつくろうと考えました。5層のフロアにわたって連続するスロープ、全階を繋ぐ直通階段、そして複数の2フロアをつなぐ階段を散りばめることにより,それぞれの人がそれぞれの経験を繋ぎ、自分の図書館をつくり上げられるような建物になればと考えました。

  • SANAA(下記プロフィール参照)デザインのラビットチェアがあちこちに
  • 館内を歩きながら自分のお気に入りの場所を見つけることも、楽しみの一つ

歴史を語るものを未来に生かしながら

閲覧スペースのテーブルと椅子は旧図書館の家具を積極的に再利用しています。それだけで足りない分の家具も同じデザインで新しく作りました。いままで先輩方が使ってきた家具を使うことで、旧図書館からの蔵書とともに、半世紀以上の学びを育んできた歴史を、現在、そして未来へとつなげていければと考えました。
図書館は、目白通りより20メートルセットバックして建っています。この場所に図書館と合わせて「青蘭館」を建てました。ここは学生の皆さんの憩いのスペースであると同時に、研究発表やレクチャーなど学生の皆さんが活動的に使える場所です。そしてまた大学以外の人にも開く可能性を持つ場所となります。

  • 丁寧に磨き直し、照明フレームをつけて生まれ変わった旧図書館の閲覧机
  • 目白通りに面した3階・4階の閲覧席からは、通りの反対側に広がるキャンパスが近くに見え、一体感を感じることができる
  • 学生たちの憩いの場所である青蘭館は、多目的スペースとしても活用できる

プロフィール

妹島 和世(せじま かずよ)さん

日本女子大学家政学部住居学科卒業後、1981年大学院家政学研究科住居学専攻を修了。
1987年妹島和世建築設計事務所設立。1995年西沢立衛とともにSANAAを設立。2010年第12回ベネチアビエンナーレ国際建築展の総合ディレクターを務める。
現在、ミラノ工科大学教授、横浜国立大学大学院Y-GSA教授、日本女子大学大学院客員教授、大阪芸術大学客員教授。
主な受賞として日本建築学会賞*、ベネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞*(イタリア)、プリツカー賞*(アメリカ)、芸術文化勲章オフィシエ(フランス)、芸術選奨文部科学大臣賞*、村野藤吾賞など。

主な建築作品
金沢21世紀美術館*(金沢市)、Dior表参道*、犬島「家プロジェクト」(岡山市)、ニューミュージアム*(ニューヨーク)、2009年サーペンタインギャラリーパビリオン*(ロンドン)、Rolexラーニングセンター*(ローザンヌ・スイス)、ルーヴル = ランス*(ランス・フランス)など。
(*はSANAAとして)

日本女子大学 図書館について

鈴木研一氏撮影
<創立者成瀬仁蔵の思い>
創立者成瀬は大学における図書館の意義を重視し、学生が研究のため自由に活用できる図書館を建て、大学拡張運動の一環としたいと建学当初からその構想の実現に努力しました。
本学最初の図書館である豊明図書館の開館は1906(明治39)年、創立から5年後のことでした。

<第6代学長上代タノの志を受け継ぎ>
創立60周年記念事業の一つとして、1964(昭和39)年、第6代学長上代タノの確たる理念に基づく図書館(前図書館)が開館します。
学生自らテーマを持ち、自主的に研究を進めることを可能とする機能を備えた近代的図書館を目指したものです。
当時としては珍しい全開架式方式の図書館は、当時の大学図書館の一つのモデルとして注目をあびました。

<未来の学びの扉を開く>
創立120周年記念事業の一環として、現図書館が2019年4月に開館しました。
地下1階地上4階の全館が緩やかにつながる構造で、今までの図書館の理念を引き継ぎ、さらにラーニング・コモンズやレクチャールームなど学生の創造性や主体性を養う場を提供しています。