学生の皆さんへ 教育研究環境の整備と学費について

【学生の皆さんへ 教育研究環境の整備と学費について(学長メッセージ)】(2020年5月20日掲載)

新型コロナウイルス感染症により世界中で深刻な事態となっており、罹患された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い回復と事態の収束を祈っております。また、日夜懸命な治療を続けてくださっている医療従事者の皆様、社会の基盤的機能を支えてくださっているエッセンシャルワーカーの皆様に、心からの感謝を捧げたいと思います。木々の緑が美しい季節を迎えていますが、外出自粛の継続により、学生の皆さんにキャンパスでお会いできないことを大変残念に思っております。皆さんがそれぞれ元気で各自の学習を進めることができるよう願わずにはいられません。

本学では、学生の皆さんや教職員の健康を守り、感染症拡大を抑える社会的責務を果たすために、4月4日からキャンパス入構制限を続けております。
授業は例年より約ひと月遅れで、5月7日から一斉にオンラインで開始しました。短い期間でのオンライン授業の実施準備は容易ではなく、授業提供や運営方法の検討、オンライン授業に必要なツールの増強、各ツールの講習、マニュアル整備、トラブル対策など多種多様な問題に教職員が真摯に取り組み、一つ一つ乗り越えながら、授業開始のために最大限の準備を重ねてきました。また、オンライン授業の開始に先立ち、遠隔授業特別支援金として学生の皆さんに一律3万円支給を決定し、学生の皆さんにはオンライン環境の整備にご協力いただきました。
オンライン授業は、教員だけでなく学生の皆さんにとっても新たな取り組みとなりご苦労をおかけしていますが、特に授業参加が困難な方へのフォロー体制も整備しながら、皆さんのご協力のおかげでこれまでのところサーバーダウンのような大きなトラブルもなく進んでいます。

一方で、大学の教室や施設が使用できず、教員に直接会うこともできず、友人にも会えない、特に新入生の皆さんは対面しての友人づくりも自由にできないという非常事態の中で、学生、保護者の方々の中から、学費の減額と使途(内訳)に関する説明を求めるとの要望をいただきました。そこで、本学の考えをお伝えしたいと思います。

学費は、皆さんが在籍されている間の教育・研究に対してはもちろん、将来に向けての教育への投資のためにも使用されています。教室・実験室・図書館・体育館・滞在スペース等の各種施設、図書館の蔵書やオンラインジャーナル、実験実習に用いる教育・研究機器は、皆さんの先輩方が納めた学費で継続的に整え、充実させてきたものです。また授業や学生サービスの具体的なあり方についても常に見直しを行いながら必要な改善を進めています。ここ数年は授業のICT化やアクティブ・ラーニング実践のための設備投資に取り組んでいます。

たとえば現在皆さんがオンライン授業で使用しているLMS(学習管理システム)は2017年に導入しました。無論今回のような事態を想定したわけではなく、本学の教育方針の一環としてICTを教育に活用するために導入したものです。私も授業のコンテンツ作りや受講生とのやりとりでLMSを使用していますが、教室での授業に比して受講生には文章表現の的確さがより求められますし、教員には受講者一人一人とのより丁寧なコミュニケーションが可能となるなど、オンライン教育のメリットを感じているところです。各教員は、情報通信回線への過剰な負荷を避けるデータダイエットを意識しながらも、音声や動画を交えてより良い授業にするため熱心に取り組んでいます。学生の皆さんも新しい学習方法で、これまでには気づかなかった思いがけない発見などをされているものと思います。


1901年に創立された日本女子大学が119年もの間存続しているのは、次の学生さんたちのために弛まず教育的投資を行い、教育の質向上に取り組んできたからにほかなりません。
以上の理由から、本学では、オンライン授業やキャンパス入構制限による学費の返還や減額は行わないことといたしました。

教育機関が長期的視野のもとで継続的な運営を行っていくという重要な使命を負っていることもぜひともご理解いただき、皆さんにはご協力をお願いする次第です。

他方で、4月28日に本学ホームページでお知らせしたとおり、新型ウイルス感染症拡大に伴って、アルバイトができなくなったり、保護者の方の収入が急変したりと、皆さんの中には深刻な経済的ダメージを被っている人が少なくない事実は十分認識しており、学生の皆さんに想定外の負担や不安が生じていることを真剣に受け止めているところです。

どのような状況にあっても学ぶことだけはあきらめないでほしいとの願いから、一人でも多くの学生に必要な支援ができるよう、4月28日に、家計が急変した人への経済的支援を決定しお知らせいたしました。目下具体的な支援策を急ぎとりまとめております。
6月上旬には支援の詳細をお知らせできる予定ですので、もうしばらくお待ちください。

ソーシャルディスタンスを意識する日々にあって、私たちにとって人と人とのつながりがどれほど貴重であるか、改めて実感させられています。
私たちは、日本女子大学を拠りどころとして全員がつながっています。卒業生とも、そして未来の学生さんたちともつながっています。
このつながりを支えに、共に困難を分かち合いながら今の状況を乗り越えていきましょう。

2020年5月20日
日本女子大学学長 大場昌子